猫ひげ1000本

ふと自分に聞いてみたくなる1000の質問

カーペットの下の隠し事

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なにかを隠す。

 

これに必ずついて回るのが、それがバレる恐怖。

 

隠したいもの全部、カーペットの下にほうきでサササッと掃いて、カーペットで蓋をして、知らん顔。

 

カーペットの下に何かが隠されているなんて、誰も知らない。
あなただけが知っている。

 

まさにそのカーペットの上に立って、気軽な様子であなたに話しかけてくる人の目を、ちゃんと見ることができない。

カーペットの端から、出てはいけないものが出ていないかと気が気でないから。

 

だから隠し事なんてしないほうがいい。
そりゃあそうだ。

 

自分についても同じ。

自分を取り繕って、嘘の自分を作り上げて、自分が好ましいと思うイメージだけを一人歩きさせる。

そんなことをしたら、当然、嘘の自分が明るみに出てしまうのが恐くなる。

 

ここで私が伝えたいこと。

隠し事はしないほうがいい、それはバレる恐怖と背中合わせだから、そんなことではない。

 

隠したければ隠せばいい。

それは、勝手。

バレる恐怖に怯えなければならないなんて理屈は、みんな最初からわかってやっているんだから。

 


カーペットの下の隠し事を、あなた以外に知っている人物。

この人物こそ、今回私が話したいこと。

 

たとえば、あなたはこの人物のことを信頼し、信用している。

あるいは尊敬している。

だから、思わず隠し事について話してしまった。

 

あるいは、その人物だけには聞いて欲しくて、カーペットを持ち上げて、その下にあるものを見せた。

 

この人物は、どうするだろう。

 

一つ深くうなずいて、ただ黙って、そして黙り通す。

だとしたら、この人はやはり信用に足る人物だと言える。

 

思わず説教やアドバイスが口をついて出てくる人物もいるだろう。

でもそれは、あなたも甘んじて受け入れるぐらいの姿勢を持っていても悪くはない。

 

問題は、カーペットの下のあなたの隠し事を見て、

「そんなのよくないよ。そんなことしてると、自分が苦しくなるだけだよ。あなたのために言ってるの」

そう言って、あなたに隠し事を晒すよう促す人物。

 

私は、これまでにこういう人物を何人か見てきた。

彼らが一様に言うセリフは、「あなたのために言っている」

 

私はこういう人物を、狡猾なヘビと呼んでいる。

 

なぜなら、この人物は、完全な傍観者という立場に身を置きながら、あなたを思うふりをして、あなたの耳元にそっと近づいて、手にしたほうきをナイフに持ち替えて自分を刺せと、あなたをそそのかすのだから。

 

結果は、運次第。

 

狡猾なヘビにそそのかされて、隠し事をバラした。

結果、うまい方向に運んだ。

 

すると狡猾なヘビが言う。

「私が言ったとおりでしょ」

 

逆に、結果あなたは全てを失い、苦境に立たされた。

そして、狡猾なヘビに対してこんなことを言うかもしれない。
「あなたがそうしたほうがいいって言ったから、隠し事をバラしたのに」

 

すると狡猾なヘビは、

「自分で決めてやったことでしょ」

と、無表情に答える。

 

どんな悪い結果になろうと、狡猾なヘビには関係のないこと。

だって最初から傍観者なのだから。

 

傍観者だから、あなたに思い切った行動をするよう、うながすのだ。

傍観者だから、“ドラマ”を期待するのだ。

 

あなたのことを本当に思う人物は、あなたが自らカーペットを剥いで、その下を綺麗に掃除するまで、ただあなたの隣にいて、あなたの背中を撫でてくれる、そんな人。

 


遥か遠い昔、エデンの園で、なんの不安も苦しみもなく暮らしていたアダムとイブ。

 

「ほら、あの鳥のさえずりを聞いてごらん」

「あらっ、あの子達、つがいよ。私たちみたいね。ウフフフフ」

「あいつらと僕たち、どっちが仲いいなかなぁ。アハハハハ」

毎日こんな会話をして平和に暮らしていた二人。

 

神様からは、園にある木の実はなんでも食べていいと言われていた。

「ただ一つ、善悪の知識の実だけは食べてはいけない。それを食べると死んでしまう」

 

狡猾な蛇が現れてイブを誘惑する。

「そんなの食べても死なないよ。食べると賢くなるんだよ。食べちゃいなよ」

 

イブは禁断の果実を口にすると、それをアダムにも渡した。

 

それによって二人は現実に目覚め、

「えっ私たち素っ裸じゃないの!恥ずかしいわ!」

「ほら、このイチジクの葉で大事なトコ隠しなよ!」

と慌てふためき、神様から、エデンの園を追放されてしまった。

 


ふと自分に聞いてみたくなる1000の質問 #6

あなたを本当に思ってくれる人は、誰ですか?

 

おまけ

誰かがあなたに向かって「あなたのために言っている」と言うとき。

それがあなたに近しい人なら尚更、あなたに対して不満がある、あなたに対して苛立ちを抱えている、あなたに自分の思うように変わってほしい、あなたをコントロールしたい、というようなエゴによって、それを言っていることがほとんどです。

本当の意味であなたのことを思っている人は、「あなたのために言っている」なんてセリフ、口にしません。

 

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